四十九日の風に乗り、布たちは蘇る。武術と追悼が交錯する時空アクション劇
※この話はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。
火葬場ではなく、道場に呼ばれた理由
「今日は…師匠の四十九日だ」
そうつぶやいて、東京を離れたのは茶色い布地の大型犬、シェイン犬。
無口だが拳が語るタイプ。
彼は、白装束に身を包み、相棒のコスギ猫(黒帯・鈴つき)とともに、中国・四川省の山奥へと旅立った。
目的は、“四十九日間だけ蘇るパペット魂”を導く武術「四十九式布拳」の習得。
武道と供養が融合したその道場では、亡きパペット師範たちが「うっすら生地のまま」稽古をつけてくれるのだという。
「動きに縫い目がある」武術に全世界が注目
四十九式布拳の特徴は、攻撃の直前に一瞬だけ“ほつれ”が見えること。
その軌道は予測不能で、糸が敵を包み込むように打撃を与える。
伝説の奥義「九番返し(ぬのかえし)」では、敵の動きを“静電気で吸収”する技も登場。
シェイン犬はすでに“ほぼ透明の手刀”を会得しつつあり、コスギ猫は「脚がふわふわのまま相手の急所に跳ねる」技を披露している。
武術か追悼か、それとも演出か
取材に応じた道場の長老パペットは、こう語った:
「人間は四十九日で旅立つが、パペットは…ほどけて再縫製されるだけよ」
また、道場の壁には「NO糸、NO帰還」と書かれた巻物が貼られており、
修行後に再び“縫い直されて生まれ変わる”儀式が行われるとのこと。
最後にシェイン犬はこう呟いた:
「これが終わったら、俺はもう…手洗い不可だ」
編集部コメント
真剣さとは、軽さと隣り合わせの布地に宿る。
祈りも戦いも、いまは同じ裁縫箱の中にある。
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