見えないモフが語りかける、風と鼻腔のサイレント会話
※この話はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。
観光客の鼻が「こんにちは」と反応
北海道・富良野のラベンダー畑で今月初旬、
突如“形を持たないパペット”が出現し、SNSを騒然とさせている。
目撃情報によると、畑の一角に足を踏み入れた観光客たちが、
**「こんにちは」「大丈夫?」「疲れてない?」**といった“言葉のような香り”を感じたという。
ただし、視覚には何も映らず、音も存在しない。
空間にはラベンダーとは違う、**「保育園の昼寝布団の匂い」**が漂っていた。
見えない、触れない、でも会話は成立
この現象に触れた人々は口を揃えて、
「なぜかわかる」「布みたいな人格を感じた」と語る。
中には、「自分が落ち込んでいたせいか、“香りのパペット”が笑ってくれた気がした」という声も。
地元住民のあいだでは、すでに「フワ風(ふわかぜ)さま」として祀られ始めており、
畑の一角に小さな座布団が供えられるようになっている。
学者「嗅覚による布的存在の伝達の可能性」
北海道大学の感覚認知学研究室によれば、
これは「空間に香り型の意識が浮かぶモフ次元干渉」であり、
「ぬいぐるみ以前に、気配そのものが布化した可能性がある」とのこと。
なお、香りに反応した犬たちは全員おとなしく伏せ、
その場で軽く丸まって寝てしまったという。
編集部コメント
姿を持たない優しさは、最初に鼻を選ぶ。
匂いになったぬいぐるみは、もう誰の膝にも乗らない。
コメント